【2026年最新】電子帳簿保存法とは?義務化の注意点と保存方法を解説
電子帳簿保存法は2024年の完全義務化を経て、企業の必須対応となりました。しかし、2025年の改正による要件緩和など、制度は今も変化しています。「現在の運用で問題ないか」「最新ルールを知りたい」という方もいるでしょう。
本記事では、電子帳簿保存の区分、対象者、保存要件やペナルティ、最新の保存要件と業務効率化をわかりやすく解説します。

電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法とは、原則として紙での保存が義務付けられていた国税関係の帳簿や書類を、電子データでの保存ルールを定めた法律です。
2024年1月より電子取引データの保存が完全義務化となり、直近の2025年にはさらなる利便性向上に向けた税制改正も実施され、環境整備が進んでいます。
本制度は単なる法令順守の義務ではありません。要件を満たすシステムを導入することは、将来的な「税務リスクの回避」とペーパーレス化による「経理業務の効率化」を同時に実現するものであり、企業経営を強化する重要な取り組みです。
電子帳簿保存法の対象と3つの区分
電子帳簿保存法の対象は、仕訳帳などの帳簿から請求書等の取引書類まで多岐にわたります。これらは作成や受取の方法により3つに区分されます。
自社の書類がどの区分に該当するかを正しく把握し、区分ごとの要件に沿った適切な管理を行うことが重要です。本章では、電子帳簿保存法の対象と3つの区分について解説します。
電子帳簿等保存
電子帳簿等保存とは、会計ソフト等で一貫して作成した帳簿や書類を、紙に出力せずデータのまま保存する制度です。対象は仕訳帳や総勘定元帳、自社発行の請求書控えなどで、手書きのものは含まれません。
運用には、システム仕様書の備え付けや、税務職員の求めに応じてデータを即座に出力・確認できる環境(可視性の確保)が求められます。
また、令和7年度税制改正の大綱によると、2025年から特定の要件を満たし、データを「優良な電子帳簿」として保存することで、過少申告加算税の軽減や青色申告特別控除(65万円)の適用といった税制上のメリットが得られます。
システムの導入により、業務効率化と節税の両立が可能です。
スキャナ保存
スキャナ保存とは、相手先から紙で受領した領収書や請求書、または自社で作成した取引書類を、スキャナでの読み取りやスマートフォン撮影によってデジタルデータとして保存する制度です。
この制度への対応は任意ですが、要件を満たせば紙の原本を破棄できるため、保管スペースの削減やペーパーレス化による業務効率化に直結します。
具体的な保存要件には、「解像度200dpi以上」「原則フルカラー」といった画質の規定に加え、改ざん防止のためのタイムスタンプ付与(または訂正削除履歴が残るシステムの利用)、検索機能の確保、帳簿との相互関連性が求められます。
2025年以降は、国税の手続きを行う「e-Tax」における添付書類の白黒保存が一部容認されるなど緩和も進んでいますが、画質不足等のミスを防ぎ運用を定着させるには、適切な社内フローの整備が不可欠です。
電子取引
電子取引とは、メールやWebサイト経由などで授受した取引情報を、データのまま保存する制度です。他の区分が任意であるのに対し、本制度への対応は全事業者に義務化されています。
保存時には、データの改ざんを防ぐ「真実性」と、検索機能など「可視性」の確保が不可欠です。原則として紙への印刷保存は認められないため、最新の法要件に対応したシステム管理や、漏れのない運用フローの構築が求められます。
参照:国税庁 電子帳簿保存法対応!令和6年1月以降の電子取引データの保存方法について(令和6年11月)
電子帳簿保存法の対象者
電子帳簿保存法の対象となるのは、所得税や法人税を納めるすべての事業者です。業種や規模を問わず、大手企業から中小企業、個人事業主まで例外はありません。
本法は1998年の施行以来、度重なる改正で電子化が進められてきましたが、2022年1月の改正で大きな転換期を迎えました。
従来、電子保存の導入はあくまで任意でしたが、この改正以降、メールやWeb等で授受した「電子取引データ」については、紙出力での代用が廃止され、データ保存が完全義務化されたのです。
2023年末までの宥恕期間も終了した現在、すべての事業者が法に準拠した管理体制を整える必要があります。義務化への対応を怠ると、追徴課税などの税務上のペナルティを受ける可能性があるため、未対応や不備がある場合は早急な確認と是正が求められます。
電子帳簿保存法の保存要件
電子帳簿保存法に則ってデータを保存するには、国税庁が定める「真実性の確保」と「可視性の確保」の2大要件を満たさなくてはなりません。ただし、これらの要件は区分によって細かな基準が異なります。
本章では、電子帳簿保存法の保存要件を区分ごとに解説します。税務調査での指摘やリスクを避けるためにも、具体的な保存ルールを正しく理解しておきましょう。
「電子帳簿等保存」の要件
「電子帳簿等保存」の要件は以下の通りです。まず、基本的な保存においては、次の3つを最低限守る必要があります。
- 仕様書やマニュアルなどのシステム概要書等が備え付けられている
- PC・プリンタ等が配置されており、速やかな出力が可能である
- 税務職員の求めに応じてデータをダウンロードできるようにしてある
さらに、税制優遇の対象となる「優良な電子帳簿」として保存する場合は、これら最低限の要件だけでなく、訂正削除履歴の確保や検索要件など、定められた全ての項目を厳格に守ることが求められます。

引用:電子帳簿・電子書類関係(令和6年1月1日からの取扱いに関するもの)国税庁
「スキャナ保存」の要件
スキャナ保存の要件は、資金や物の流れに直結する「重要書類(領収書・契約書等)」と、それ以外の「一般書類(見積書・注文書等)」で一部異なります。
共通要件として、200dpi以上の解像度による読み取り、日付・金額・取引先による検索機能の確保、タイムスタンプ付与(または訂正削除履歴が残るクラウドシステム等の利用)が必須です。
一般書類は白黒保存も許されていますが、重要書類は原則カラー保存が義務付けられています。また、入力期間の制限もあり、早期入力方式で7営業日以内、業務処理サイクル方式は最長約2ヶ月以内と定められています。
なお、原本はスキャン不備や画質不良に備え、画像の確認が完了するまで一定期間保管するのが安全です。このように要件が極めて細かいため、法的要件を網羅した「スキャナ保存対応システム」の活用をおすすめします。

引用:スキャナ保存関係(令和6年1月1日からの取扱いに関するもの)国税庁
「電子取引データ保存」の要件
「電子取引データ保存」では、「真実性」と「可視性」の確保が不可欠です。
真実性の確保にはタイムスタンプ付与、訂正削除履歴が残るシステムの導入、または事務処理規程の策定など、以下のいずれかの措置が必要になります。
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可視性の確保では、以下のPCやマニュアルの設置に加え、日付・金額・取引先でデータを探せる検索機能の整備などの措置が必要です。
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ただし、措置を行う者が売上高5,000万円以下の事業者であるか、電子取引データをプリントアウトして日付及び取引先ごとに整理している場合は、税務調査時のダウンロード請求に応じることで検索要件が免除されます。
2024年1月より電子データの紙保存は原則不可となったため、要件を満たすシステムでの運用が推奨されます。
電子帳簿保存法に違反すると?
電子帳簿保存法の要件を無視したり、不備のある状態で運用を続けたりすると、厳しい税務上のペナルティを受ける可能性があります。
具体的にはデータ隠蔽等に対する「重加算税の10%加重措置」や、「青色申告の承認取り消し」による節税メリットの喪失など、経営に直結する重大なリスクが生じます。
本章で、電子帳簿保存法に違反した場合の罰則について具体的に見ていきましょう。
新たに課税が課される
保存された電子データに不正が見つかったり、書類に不備や誤記が多かったりすると、10〜20%程度の過少申告加算税などの追徴課税対象となる可能性があります。
さらに、これらが故意による隠蔽・仮装と認定されると、35〜40%の重加算税が課されます。特にその不正が電子取引のデータ保存に関わるものであった場合、さらに10%の課税がされるペナルティ規定が設けられているため、厳重な管理が必要です。
青色申告が取り消しになる
正当な理由なく、電子帳簿保存法の要件に沿ったデータ保存がなされていない場合、青色申告の承認が取り消される可能性があります。承認が取り消されると、最大65万円の青色申告特別控除をはじめとする重要な税制優遇措置が受けられません。
ただし、違反に至った経緯に「やむを得ない事情」があると認められ、かつ今後の適正な申告・保存が期待できる場合には、例外として罰則の対象にならない可能性も残されています。
参照:国税庁 法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)
罰金が発生する
電子帳簿の保存義務を怠ると、電子帳簿保存法のみならず、会社法違反のリスクも招きます。会社法第九百七十六条には会計帳簿の作成および保存に関する規定があり、これに違反して不適切な管理を行うと、100万円以下の過料が科される場合があります。
税法上の罰則に加え、会社法上の制裁にも十分な注意が必要です。
2026年時点での電子帳簿保存法の変更点まとめ
電子帳簿保存法は、デジタル化の進展に伴い頻繁にアップデートされています。2024年の電子取引データ保存の完全義務化という大きな転換点を経て、2025年には実務負担を軽減するための細かな要件緩和も実施されました。
本章では、2026年時点で事業者が確実に押さえておくべき最新の変更点を整理します。
2024年1月より「電子取引データの保存」が完全義務化
2024年1月、電子取引データの保存に関する猶予措置が終了し、本制度は完全義務化へと移行しました。
これにより、メールやWebサイトを通じて受け取った請求書・領収書などの電子データは、紙に出力して保存する従来の代替手段が原則不可となり、一定の要件を満たしたうえで「データのまま」保存しなければなりません。
2026年現在、規模を問わずすべての事業者が電子データの保存義務への対応を求められており、法律に準拠した適正な管理体制の構築が急務となっています。電子保存は選択肢ではなく、事業継続のための必須要件と言えます。
【2025年改正】重加算税の免除措置と適用要件
令和7年度税制改正の大綱に基づき、電子データの改ざん等に関連する重加算税の10%加重措置について、一定の条件を満たせば免除される新たな規定が設けられました。
免除の具体的な要件として、訂正・削除履歴が確実に確認できるシステムでの保存や、税務当局への事前届出などが求められます。
本改正の実質的な適用は2027年以降の申告分からですが、早期に適切なシステムを導入し厳格にルールを遵守する体制を整えておくことは、将来的な税務リスクを大幅に低減させる大きなメリットがあります。
【2025年改正】青色申告特別控除(65万円)の適用要件見直し
所得税における最大65万円の青色申告特別控除についても、適用要件の重要な見直しが行われました。従来、e-Tax利用以外でこの控除を受けるには「優良な電子帳簿」の要件を満たす必要がありましたが、改正によって選択肢が広がります。
具体的には、重加算税の加重措置免除の要件を満たすシステムを用いて電子取引情報を保存することでも、65万円控除の適用が可能になります。適切なシステムを導入すれば、確実な節税メリットとペナルティ回避の両面で恩恵を受けられるのが特徴です。なお、本改正は2027年分以降の所得税より適用される予定です。
スキャナ保存の要件緩和とe-Taxの利便性向上
スキャナ保存に関する実務負担も軽減されます。特にe-Taxで提出する添付書類については、従来はカラー保存が必須とされていましたが、改正により「白黒画像(256階調以上)」での提出も認められるようになりました。
さらに、2028年からはJPEG形式も受け付け可能となる予定で、データ容量の圧縮や既存スキャナの有効活用が容易になります。
これにより、白黒対応機器しか持たない中小企業でも導入のハードルが下がり、ペーパーレス化による業務効率化が社会全体で加速することが期待されています。
【2026年】電子帳簿保存法に対応する際のポイント
電子帳簿保存法への対応が定着しつつある今、単にデータを保存するだけでは不十分です。税務調査に対処できる「検索性」や「真実性」を確保しつつ、いかに業務負荷を抑えるかが課題となります。
アナログな管理を脱却し、法対応と業務効率化を両立させるためには、どのような視点が必要なのでしょうか。ここでは、電子帳簿保存法に対応する際のポイントを解説します。
法改正に自動対応する適切なシステム選定
電子帳簿保存法の複雑な要件を、自力ですべて把握しミスなく運用し続けるのは困難です。不備による青色申告取り消し等の重大なペナルティを回避し、かつ業務効率を最大化するには、頻繁な法改正へ自動的に追随できるシステムが欠かせません。
例えば、NTTデータ・ウィズが導入支援するSAP Concurのような外部サービスなら、人的ミスを防ぎながら確実に法的要件を満たした運用が実現します。
企業の社会的信頼を守りつつ、現場担当者の負担を劇的に軽減する解決策として、こうした実績ある外部サービスの導入の検討をおすすめします。
電子取引データへの対応
電子取引データの保存が完全義務化された今、メール添付の請求書やWeb経由でダウンロードして取得した領収書等は、紙に出力して代用せず、必ず「電子データのまま」保存することが求められます。
2026年現在、過去の宥恕措置などの猶予期間は既に終了しており、全社的なルールの徹底及び早急な対応が必須です。
未対応の場合は、国税庁が定める「真実性」と「可視性」の要件に基づき、改ざん防止措置や検索性を備えた管理体制を早急に構築しなければなりません。法令遵守に向けた確実な運用が不可欠です。
検索要件緩和の活用
以前と比較して、タイムスタンプの付与や検索要件に関するルールは緩和されています。そのため、高額な専用システムを導入しなくても対応できるケースがあります。
例えば、ファイル名を「日付・取引先・金額」で規則的に管理する方法や、適切な事務処理規程の備え付けでも、法律を遵守した運用は十分に可能です。
重要なのは、自社の取引規模やIT環境に合わせ、過度な負担にならない範囲で運用できる「現実的な方法」を選択することです。緩和された要件を正しく理解し、賢く活用することが、現場の無用な混乱を防ぐ実務のポイントとなります。
原本破棄を前提としたスキャナ保存の検討
紙で受け取った書類をスキャンしてデータ化する「スキャナ保存」制度を適切に活用すれば、原本の即時廃棄が可能になります。これにより、膨大な書類の保管スペースが不要になるだけでなく、必要な情報を瞬時に検索できるなど、業務効率は飛躍的に向上します。
特に2025年以降は、白黒画像での保存も広く容認されるなど要件緩和がさらに進み、ペーパーレス化を加速させる絶好の好機です。物理的な書類の紛失リスクの低減にも直結するため、社内全体のガバナンスと管理体制も強化されるでしょう。
デジタル化を見据えた業務フローの見直し
電子帳簿保存法への対応は、単なる「法的義務」の履行ではなく、「経理DX」を推進するチャンスと捉えることが大切です。
従来の「紙を回して承認を得る」アナログなフローから、電子データによるオンライン承認・管理へ移行すれば、経理業務全体のスピードと精度は格段に向上します。
業務フローの見直しにより、テレワークの推進や決算業務の早期化も実現可能です。法律の枠に合わせるだけでなく、自社にとって最も効率的で生産性の高いデジタル運用の形を積極的に模索することが重要です。
まとめ:電子帳簿保存法改正への適切な対応はシステム活用を
改正された電子帳簿保存法への適切な対応には、「電子取引」「スキャナ保存」「電子帳簿等保存」の各要件を確実にクリアする必要があります。
しかし、これを単なる法令順守の義務と捉えるのではなく、経理業務全体のペーパーレス化と効率化を同時に実現する「経理DX」の好機とすることが、会社全体の生産性向上につながります。
そこでおすすめなのが、経費精算や出張管理、請求書管理までをスムーズに行える世界標準のクラウドシステムSAP Concurの活用です。領収書や請求書のデジタル管理を一元化することで、法対応にかかる工数を最小限に抑えつつ、煩雑な事務作業を劇的な効率化が可能です。
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